肩こりを掘り下げる
僕は肩こりという症状は最もベーシックであり、絶対に軽んじない現象の一つとして捉えています。なぜ肩こりは重要な現象なのかをお話ししたいと思います。
実は肩こりは割と簡単でわかりやすい現象です。わかりやすいが故にその場で解消に繋げることは割と簡単であるように思います。しかし、肩こりを1年間再発させないと考えるとかなり難易度が上がります。一生肩こりを発症させない確率となるとゼロではないけど、限りなくゼロに近いです。
僕の気づきの始まりは肩こりへのアプローチからでした。最初は肩周辺の筋肉をリリースしていきました。私の経験では背中から腕につながる広背筋の腕側（停止部）と、肩甲骨の裏側にある肩甲下筋、鎖骨から胸を覆う大胸筋の腕側の付け根（停止部）を弛めることで、肩本体である僧帽筋は一切揉んだり押したりする事なく、だいたい３０分程度で肩こりを解消することができるようになりました。僧帽筋を揉むという安直な方法だと効果は一日持つか、持たないかです。でも、肩の筋肉に触れず、関係する周辺の筋肉を弛めると、人によるけど３日〜１ヶ月弱効果は持続し肩こりから解放されます。この時点で肩こりを解消するというのはクリアしました。この仕事を始めて一年目くらいだったと思います。でも、次の難関は、１ヶ月後にまた同じ肩こりという症状で再発して患者さんが来店してしまうのです。なんでかなーっと思いもう少し自分の目線を広げ、よく考えると、肩の関節を動かさないことが肩が凝る原因の一つなので、筋肉へのアプローチをやめて、肩関節の動きの過不足を調べ、関節に緩やかな運動を加え関節の可動域を整えたところ、ものの５分で筋肉にアプローチする事もなく、しかも短時間で解消できました。このあたりから筋肉以上に骨格や関節に注目し、オステオパシーなども学ぶようになりました。でも・・・案外結果は変わらず、結局効果はやっぱり１ヶ月弱でした。てことは関節や肩周辺の組織が問題ではないと感じたので、もっと目線を広げた時に経絡に出会いました。経絡的には肩は内臓に関係する為、ここから内臓へ関心が移りました。そしたらおおよその肩こりでお悩みの方は、肝臓が疲れている事、便秘をしている事に気付きました。肝臓は血液循環と密接な関係なので、圧迫したり、叩いたり、色々試しましたが、肝臓の上から優しく手を当て、肝臓の微細な動きを感じ取るという方法が一番効果的で、３分もやると、嘘みたいに肩こりは解消されます。しかも人によっては１ヶ月程度ですが半年近く再発しないという事も達成でき、少しづつ再発させないことが現実化されてきました。便秘の解消はそもそも時間がかかる事なので、便秘さえ解消できれば同じような好感触を得られました。しかし、それでも平均したらだいたい３−４ヶ月程度の効果です。内臓がよくないのはわかりました。さらに首が曲がっていたり、頭蓋骨や顔面が歪んでいても肩こりが起こります。結局のところ、肩こりは自律神経の問題と内臓の問題と結論付けられたのですが、僕はどうも釈然としませんでした。なんで、身体の生理機能に不調和が起こるのだろう。その原因を作る食生活や生活習慣はどうして乱れがちになるのか。この辺が謎でした。そこから感情や心理を深めていきました。心理は学問的にも少し模索しましたが、実際に生きている人間をかなり観察し、瞑想を用いて内観を深め自らを掘り下げました。そしたら、人間の内部で起こっている欲求があり、この欲求が満たされなかたっり、感情的に不安定な時、その代替えとして、行動や感情が生まれ、身体や行動に不調和をもたらします。この根は非常に深いものです。これは身体構造を操作すれば一定の効果はあるのですが、心が生み出すパターンを解除する必要があります。これを成し遂げるには中々大変でしたが、自分なりに心や欲求のパターンを解除する方法を見つけ、身体の微調整と組み合わせる事で、基本的には肩こりは解消させることに成功しました。今の所、同じ状態で再発する方はいません。人は生きていると様々なストレスに晒されます。そのため、様々な痛みや苦悩に直面します。そのために肩が痛んだりもします。しかし、心や感情のパターンを解除すれば、違ったパターンの肩こりを生み出すだけで、その肩こりは日が浅いパターンなので、数分で治すことができ、再発もしません。ここまで10年費やしましたね・・・
たかが肩こり、されど肩こり、物事はとても深い。腰痛や頭痛なんかはもっとバリエーションがあり、自然環境や感情にも大きく左右されるので、もっと深いです。でも一つ一つ、一人一人の患者さんの心身の状態を紐解く事でしか真実には近づきません。僕はこれからも変に飛躍せず、着実に一つづつ深めていこうと考えています。
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ヒーラー・整体師・奈良岡元
